植物性化合物・化学物質一覧

植物性化合物(植物特化代謝物)

ザクロ
ミソハギ科ザクロ属の1種で、特有の赤い果実ではない種の部分(ザクロ乾燥種子)60gあたりに1mgのヒトのエストロゲンの一種であるエストロンが含まれる(カルフォルニア工科大学のヘフトマンズ博士らの報告)。赤い果実にはビタミンやミネラルは豊富であるものの、エストロゲンやエストロンは存在しないことが確認されている。
プエラリア・ミリフィカ
タイ北部やミャンマーの山岳地帯などに自生するマメ科クズ属の植物で食経験(食材としての歴史)がなく、塊根にはエストロゲン様化合物のデオキシミロエストロール、ミロエストロールが含まれる。プエラリアは細胞増殖試験では強い細胞増殖作用があり、DNAマイクロアレイによる生理活性の評価では、ヒトのエストロゲンとは異なる生理作用を示す。これらの天然物質の摂取については消費者庁や国民生活センターが注意を呼びかけている。
レッドクローバー
マメ科シャクジクソウ属の植物で食経験(食材としての歴史)がなく、エストロゲン様化合物のフォルモノネティンが含まれる。レッドクローバーは更年期改善が示唆されている反面、牧草地の動物を不妊にする作用が確認されている。DNAマイクロアレイによる生理活性の評価では、ヒトのエストロゲンとは異なる生理作用を示す。これらの植物は草食動物の繁殖を制限するために、特定の成分を自ら産生(防衛機能)していると考えられる。

有機合成原料

有機化合物
アジピン酸ジ-2-エチルヘキシル
アジピン酸と2-エチルヘキサノールのエステル(化学反応)による有機化合物。
主にポリ塩化ビニルやゴムの低温柔軟性を付与する可塑剤、国外の食品用ラップフィルムとして使用される。
【CAS】103-23-1 【化審法】一般化学物質
アトラジン
s-トリアジン環を持つ複素環式化合物。主に農耕地の除草剤として世界で最も多く使用される。
【CAS】1912-24-9 【化審法】一般化学物質 【IRAC】3
アミトロール
環に異なる元素を含む複素環式化合物。主に農耕地、非農耕地の除草剤(失効農薬)として使用される。
ほかに現像用薬品、合成樹脂硬化剤の用途もある。加熱により窒素酸化物を含む有毒ガスを生じる。
【CAS】61-82-5 【化審法】一般化学物質【IRAC】3
エスフェンバレレート
フェンバレレートを光学分割した合成ピレスロイド系の光学異性体。主に農耕地の殺虫剤として使用される。
【CAS】66230-04-4 【毒劇法】劇物
P-クレゾール
酸基のパラがメチル基に置換されたフェノールの異性体。
特徴的な薬品臭があり、主に香料、酸化防止剤、殺菌剤、殺虫剤、農薬原料として使用される。
【CAS】106-44-5 【化審法】優先評価化学物 【毒劇法】劇物
ジネブ
エチレンビスジチオカルバミン酸亜鉛を含む化合物。主に農耕地の殺虫剤(失効農薬)として使用される。
【CAS】12122-67-7 【化審法】一般化学物質 【IRAC】3
シペルメトリン
ピレスロイド系の光学異性体。主に農耕地の殺虫剤や動物の寄生虫駆除剤として使用される。
【CAS】52315-07-8 【毒劇法】劇物
シマジン
トリジアン系の複素環式化合物。主に農耕地の除草剤として使用される。
加熱により窒素酸化物を含む有毒ガスを生じる。
【CAS】122-34-9 【化審法】一般化学物質 【IRAC】3
ビスフェノールA BPA
2等量(Bis)のフェノールとアセトン(A)から合成した化合物。
主にポリカーボネート樹脂やエポキシ樹脂(プラスチック原料)として使用される。
【CAS】80-05-7 【化審法】優先評価化学物質 【内分泌かく乱作用】報告書
ベンゾフェノン
オキシベンゾン類の芳香族化合物。主に日焼け止め原料、紫外線吸収剤、殺虫剤として使用される。
【CAS】119-61-9 【化審法】一般化学物質 【IRAC】2B 【内分泌かく乱作用】報告書
有機塩素化合物
アルドリン
シクロジエン系(ドリン類)の化合物。主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】309-00-2 【化審法】第一種特定化学物質 【化管法】 【POPs】A 【IRAC】2A
エンドリン
ディルドリンと立体異性体関係がある化合物。主に殺鼠剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】72-20-8 【化審法】第一種特定化学物質 【毒劇法】毒物 【POPs】A 【IRAC】3
エンドスルファン
別名:ベンゾエピン 主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】115-29-7 【化審法】第一種特定化学物質 【毒劇法】毒物 【POPs】A
オキシクロルデン
シクロジエン系(クロルデンの代謝物)の化合物。主に農耕地の殺虫剤として使用される。
【法規制】データなし
クロルデコン
主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)として使用される。酸や加熱により塩化水素を含む有毒ガスを生じる。
【CAS】143-50-0 【化審法】第一種特定化学物質 【POPs】A 【IRAC】2B
クロルデン
シクロジエン系(ドリン類)の化合物。主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】57-74-9 【化審法】第一種特定化学物質 【毒劇法】毒物 【POPs】A 【IRAC】2B
4-クロロフェノール
主に殺菌剤や防腐剤の原料、化粧品ではパラクロルフェノールとして使用される。
不燃性ではあるが、一定の温度でダイオキシンを含む有毒ガスを生じる。
【CAS】106-48-9 【化審法】一般化学物質
ケルセン
DDTの類縁化合物。主に殺虫剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】115-32-2 【化審法】第一種特定化学物質 【POPs】A 【IRAC】3
2,4-ジクロロフェノキシ酢酸
フェノキシ系の化合物。主に農耕地の除草剤や植物のホルモン剤(伸長成長)として使用される。
【CAS】94-75-7 【化審法】一般化学物質 【IRAC】2B
ディルドリン
エンドリンと立体異性体関係がある化合物。主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)、防腐剤として使用される。
【CAS】60-57-1 【化審法】第一種特定化学物質 【毒劇法】毒物 【POPs】A 【IRAC】2A
DDT
1938年に米国で開発。主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)、防疫用の薬剤として使用される。
DDTは生物体内代謝により、同様の化学的特性をもつDDE and DDDに変化する。
【CAS】50-29-3 【化審法】第一種特定化学物質 【POPs】B 【IRAC】2A
トキサフェン
カンフェンを塩素化合成した化合物。主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】8001-35-2 【化審法】第一種特定化学物質 【POPs】A 【IRAC】2B
trans-ノナクロル
クロルデンの類縁化合物。主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)、防黴剤、防汚剤として使用される。
【CAS】39765-80-5 【毒劇法】劇物
2,4,5-トリクロロフェノキシ酢酸
フェノキシ系化合物。主に農耕地の除草剤(販売禁止)や植物のホルモン剤(伸長成長)として使用される。
【CAS】93-76-5 【毒劇法】劇物
ニトロフェン
ジフェニルエーテル系の化合物。主に農耕地、水田の除草剤(失効農薬)として使用される。
1988年までに全ての国で使用禁止。燃焼により有毒ガスを生じる。
【CAS】1836-75-5 【化審法】一般化学物質 【IRAC】2B
ヘキサクロロシクロヘキサン
1825年に英国で開発。DDTと同様、主に農耕地の殺虫剤(失効農薬)として使用される。
【CAS】608-73-1 【化審法】一般化学物質 【毒劇法】劇物
ヘキサクロロベンゼン
ベンゼン環の水素に塩素が置換した化合物の総称。主に農耕地の殺菌剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】118-74-1 【化審法】第一種特定化学物質 【POPs】A,C 【IRAC】2B
ヘプタクロル
クロルデンの類縁化合物。主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)、防黴剤、防汚剤として使用される。
酸化により、副生成物ヘプタクロルエポキシドを生じる。
【CAS】76-44-8 【化審法】第一種特定化学物質 【毒劇法】劇物 【POPs】A 【IRAC】2B
ペンタクロロフェノール
主に水田用の除草剤(販売禁止)や木材の防腐剤として使用される。
不燃性ではあるが、一定の温度でダイオキシンを含む有毒ガスを生じる。
【CAS】87-86-5 【化審法】第一種特定化学物質 【毒劇法】劇物 【POPs】A 【IRAC】1
ペンタクロロベンゼンPeCB
環に5つの塩素が結合した化合物。主にポリ塩化ビフェニルや殺菌剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】608-93-5 【化審法】第一種特定化学物質 【毒劇法】劇物 【POPs】A,C
ポリ塩化ビフェニルPCB
ベンゼン環の水素に塩素が置換した化合物の総称。主に電気機器の絶縁油、熱媒体、可塑剤として使用される。
【CAS】1336-36-3 【化審法】第一種特定化学物質 【POPs】A 【IRAC】1
マイレックス
主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】2385-85-5 【化審法】第一種特定化学物質 【POPs】A 【IRAC】2B
メトキシクロル
DDTと同様、主に農耕地の殺虫剤として使用される。
【CAS】72-43-5 【化審法】第二種特定化学物質 【IRAC】3
リンデン
ベンゼン環に6つの塩素が結合した化合物。ヘキサクロロシクロヘキサンのy-異性体を99%含有。
【CAS】58-89-9 【化審法】第一種特定化学物質 【毒劇法】劇物 【POPs】A 【IRAC】1
有機窒素化合物
アルディカーブ
カルバミン酸系の化合物。主に農耕地の殺虫剤(国内未登録)として使用される。
【法規制】データなし
カルバリル
カルバミン酸系の化合物。主に農耕地の殺虫剤や動物用医薬品(寄生虫駆除)として使用される。
加熱により窒素酸化物を含む有毒な微粒子を生じる。
【CAS】63-25-2 【化審法】一般化学物質 【毒劇法】劇物 【IRAC】3
ジラム
カルバミン酸系の化合物。主に農耕地の殺虫剤やゴムの加硫促進剤として使用される。
【CAS】137-30-4 【化審法】一般化学物質 【毒劇法】劇物 【IRAC】3
メソミル
カルバミン酸系の化合物。主に農耕地の殺虫剤(水和剤)として使用される。
【CAS】16752-77-5 【化審法】第一種特定化学物質 【毒劇法】毒物
有機リン化合物
パラチオン
1944年に独国で開発。DDTと同様、主に農耕地の殺虫剤(販売禁止)として使用される。
【CAS】56-38-2 【毒劇法】毒物 【IRAC】2B
マラチオン
主に農耕地や住宅造園の殺虫剤として使用される。
蚊やハエの防除(公衆衛生)で、米国で広く使用されている。
【CAS】121-75-5 【化審法】一般化学物質 【IRAC】2A
有機スズ化合物
トリフェニルスズ
ベンゼン環に塩素が結合した化合物。主に殺菌剤(失効農薬)、防黴剤、防汚剤として使用される。
日本ではエコマークの繊維、プラスチック及び塗料を使用した製品に対しての使用は規制されている。
【CAS】639-58-7 【化審法】第二種特定化学物質 【毒劇法】劇物
塩化トリブチルすず
スズ原子に3つのブチル基が結合した化合物。主に殺菌剤、防黴剤、防汚剤として使用される。
【CAS】1461-22-9 【化審法】第二種特定化学物質 【毒劇法】劇物
有機フッ素化合物
トリフルラリン
ジニトロアニリン系の化合物。主に農耕地、非農耕地の除草剤として使用される。
燃焼により分解し、窒素酸化物やフッ化水素を含む腐食性の有毒ガスを生じる。
【CAS】1582-09-8 【化審法】一般化学物質 【IRAC】3
副生成物(非意図的生成物)
オクタクロロスチレン
有機塩素化合物を製造時の副生成物。
主にマグネシウム製造の電解工程、アルミニウム塩の精錬工程等で発生する。
【CAS】29082-74-4 【内分泌かく乱作用】報告書
スチレンの2及び3量体
発泡スチロール(ポリスチレン樹脂)のスチレン製造時の重合で生成される副生成物。
試験結果により安全性が確認され、環境庁の「内分泌攪乱作用を有すると疑われる化学物質」より除外。
【CAS】29082-74-4
2,3,7,8-テトラクロロジベンゾ-1,4-ジオキシン
ダイオキシン類。ごみの焼却など主に物が燃焼するときに生成される副生成物。
【CAS】1746-01-6 【化審法】第一種特定化学物質 【IRAC】1
2,3,7,8-テトラクロロジベンゾフラン
ダイオキシン類。ごみの焼却など主に物が燃焼するときに生成される副生成物。
【CAS】51207-31-9 【IRAC】3
ベンゾ[a]ピレン
ベンゼン環が5つ結合した多環芳香族炭化水素。有機物質の燃焼や不完全燃焼で生成される副生成物。
【CAS】50-32-8 【IRAC】1

※対象物質に記載のCAS番号は米国化学会の化学物質登録システムが付与する化学物質固有の数値識別番号になります。法規制は(おもに化学物質のリスクに関連)「化審法、毒劇法、POPs、IRAC」のみを掲載しています。「内分泌かく乱作用(報告書)」は、経産省「内分泌かく乱作用に関する試験結果及び有害性評価書」の有無になり、本ページで有害性を示すものではありません。

法規制、国際条約

化審法(化学物質審査規制法)
化学物質が環境汚染を通じて、人の健康や生物へ被害を及ぼすことを防止するために、化学物質の製造や輸入、使用等について規制することを目的に制定された法律。
毒劇法(毒物及び劇物取締法)
日常流通する有用な化学物質のうち、主として急性毒性による健康被害が発生するおそれが高い物質を毒物又は劇物に指定し、保健衛生上の見地から必要な規制をおこなうことを目的に制定された法律。
POPs条約(ストックホルム条約)
環境中での残留性、生物蓄積性、人や生物への毒性が高く、長距離移動性が懸念されるポリ塩化ビフェニル(PCB)、DDT等の残留性有機汚染物質の、製造及び使用の廃絶・制限、排出の削減、これらの物質を含む廃棄物等の適正処理等を規定している条約(条約を担保できるように各国の諸法令で規制)。対象物質は主に3つ(生産・使用・輸出入の[A廃絶・B制限・C放出の低減])に分類される。
IARC(国際がん研究機関)
世界保健機関(WHO)の一機関で、発がん状況の監視、発がん原因の特定、発がん性物質のメカニズムの解明、発がん制御の科学的戦略の確立を目的にし、人に対する発がん性に関するさまざまな物質・要因を4段階に分類。
経済産業省「内分泌かく乱作用に関する試験結果及び有害性評価書」
内分泌かく乱物質問題にともない、経済産業省は1999年7月に化学品審議会内分泌かく乱作用検討分科会を設置して、さまざまな科学的情報を収集するとともに、「内分泌かく乱作用を有すると疑われる」として指摘された化学物質の有害性評価、化学物質の選別・評価に必要な試験法開発などをおこなっている。

※各物質の別名称、その他の化学物質および、法規制、リスク評価は以下のリンクよりご確認ください。
独立行政法人 製品評価技術基盤機構(NITE)
https://www.nite.go.jp/

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